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日語閱讀:あの空の向こうに

  「あの空の向こうに―」

  十家剣

  何で空は青いんだろう。何で広がっているんだろう。

  何で雲は流れていくんだろう。何で止まらないんだろう。

  何で時は流れていくんだろう。何で止まらないんだろう。

  何で僕の命の鼓動は鳴り続けているんだろう。何で止まらないんだろう。

  僕の疑問はいつになったら解ける事が出來るんだろう。

  ―今の僕に分かるのは、きっと死ぬまで解けないって事だけだ。

  僕が何でこんな事を考えているのか―

  それは僕が、それしか考えていられない狀況にあるからだ。

  僕は生まれつき體が弱くて、外に出る事が出來ない、寢たきりの病人だ。

  「死ぬ」と思っているのに、なかなか死なないものだと思う。

  外に出て、走り回れば死ぬのだろうけれど、僕は死ぬのが怖いのか、今までそれをしてはいない。

  毎日同じ事が続いて、毎日同じ窓から同じ空を見上げる。

  でも、同じ空なのに空はいつも違う。

  ―僕はいつも同じなのに―

  僕は、同じなんだろうか?

  僕は、いつも同じように空を見上げるけど、體はちゃんと大きくなっているのだ。

  だって、10年前も同じ空を見ていたけど、少し空が近くなっている感じがするんだもの。

  そして、僕の殘りの命も少しずつ削られているんだ―.

  梅雨の珍しく雨が止んだ日。

  大きな空がそこにあって、大きな太陽がそこにあって、ちぎれた雲があって―.

  僕は初めて見た。美しい虹がかかった空を―

  ―ああ、なんて美しいんだろう―

  僕の體は、無重力の世界にあるかのように何も感じない。

  確かにそこにある空と太陽と雲と虹―

  何か溫かくて、白いものが僕の體を包んでいる気がする―.

  とても懐かしい、溫かい何かがある―

  僕をあの空の向こうに連れて行って。

  知りたい事が分かる気がするんだ。大切なものがある気がするんだ―.

  きっときっとあの空の向こうに―

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  「元気、入るわよ。」

  母親らしき人物が、元気と呼ばれた少年の部屋の中に入った。

  元気は、空を見上げていた。

  母親は、「またか」と呆れたように、額に手を當てた。

  「元気。薬の時間でしょ?」

  元気は、全く反応を示さなかった。

  「元気!」

  元気は、ビクッとした。彼はまた、自分の世界に入り込んでいたのだ。

  「ご、ごめん。薬、後で飲むから置いといて。」<

  「だめよ。この間、飲み忘れていたでしょ?」

  母親は、元気に薬を差し出した。

  別に飲みたくないわけではなかった。ただ、もう少しで屆きそうだったのだ。

  ―今ならまだ間に合う―

  なのに、母親が、それを妨げた。

  元気は、さっさとそれを飲んで母親を追い出し、また、空を眺めた。

  無理だった。

  ―また、遠くへ行ってしまった―

  元気は、落膽した。[1][2][3][4][5]

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