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日語閱讀短文-健忘癥

  外語教育網小編整理了日語閱讀短文輔導資料,希望對您日語學習有所幫助。

  健忘癥(21)

  母親が中年といわれる年代にさしかかって、物忘れがひどくなったとき、

  「何と情けない」

  と、小馬鹿にした覚えがある。あまりに娘に馬鹿にされるので、母親は怒ってしまい、親子喧嘩が絶えなかった。しかし、最近では自分の物忘れのひどさに我ながらあきれるほどになったしまった。

  かつて私は何よりも記憶力のよさが自慢だった。一度會った人の名前はもちろんのこと、電話番號など名刺に書かれていることはすべて暗記していて、

  「すごいね」

  などといわれると、

  「ふっふっふ」

  と得意になっていた。まるで歩く電子手帳のような頭脳だったのである。ところがこのごろはあの電子頭脳はどこへいったと、いいたくなるような醜態ばかりさらしているのだ。

  盛り場でばったりとある男性二會った。彼とたしかに會ったことがある。お晝ご飯を一緒に食べて、そのうえ仕事の打ち合わせまでしたのだ。出版社の人には間違えないのだが、どこの誰さんかという部分が、私の記憶からスポット抜け落ちていた。

  「ひさしぶりですねぇ。五年くらい前にお會いしたきりですね」

  と笑いながらも、だんだん私の顔はひきつっていった。頭の中には「この人は誰だっけ」という字が一杯に充満しているのだが、記憶の糸はぶっつんと切れたままである。私はこのことを相手にさとられまいと、和やかに再會の挨拶をかわしながなあせりまくった。このとき初めて私は脳みそに大穴があいたような気がしたのである。

  それから脳味噌は大穴だらけで、話している途中で相手の名前が、山田さんか山下さんかふっとわからなくなることさえある。相手は自分の名前が忘れ去られているのも知らずににこにこしている。人生八十年というのだ、あとの五十年をこのまま大穴だらけで過ごさなければならないのかと思うと、なんだかがっくりする?

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